ドアが空いた
ただし、今度は古びたマンションのドアではなく
真っ白な、新しい彼らの家のドアが
渓谷の麓に佇む彼らの家は、
周囲を取り囲む、日に照らされ輝く木々との対比で
真珠のように輝いて見えた
周囲の色をほのかに反射し染まるその建物は
この世の物ではないかのようだった
そして、家にはピアノが運び込まれた
スタンウェイが
スタンウェイのピアノの色は、
統一された内装の白とするどい対比を作り出し
その存在感を増していた
そして、その音色
ピアノから奏でられる音は、
まるで色がついているかのように白の家へ染み込み
壁の内側で曲を口ずさむのであった
壁の中の歌達は命を宿し、
互いに反響しあって
家全体へとその喜びを届けるのでした
ピアノを弾く少女は、
家いっぱいに染み込んだ歌を指して
この家を「ピアノの家」と呼びました
そして、少女の成長とともに
ますます多くの喜びが、音色が
家には増えていくのでした