短歌集

なんだろう
心に残る
悔やみあり

今日も眠れず
夜の街行く
 
 

くらがりに
ひめた思いを
つぶやけば

深夜3時の
産声をきく
 
 

窓際で
遠く眺めて
物思い

髪すく女子
恋の季節か
 
 

流れ髪
やさしくすいて
口づけて

ほのかな香り
春風そよぐ
 
 

恋人を
とおりすぎさる
人なかに

みまちがえても
心ざわめく
 
 

わらった日
泣き疲れた日
わかれた日

すべてながれて
泡となりぬる
 
 

風吹けば
子供のころの
笑い声

とおくに聞こえ
またきえさって
  
 

片思い
夢と分かって
いるけれど

手と手つないで
ほほえみあって


 
 
 
亡き児らの
のこしたおもちゃ
河に浮かべ
 
流れ去るのは
涙なりけり

 
 
 

いつの日か
名をあげてやると
去る故郷
 
帰りたいけど
帰りたくない

 
 
 

ひとりでに
流され止まる
渡り船
 
自分の人生
うつすがごとし

 
 
 

恋敗れ
残った思いを
紙に書き
 
じっとながめて
やぶりすてた日

 
 
 

なやみごと
つぶやいてみれば
ひとりごと
 
わかちあう友も
家族もいない

 
 
 

未だ誰も
踏まれたことない
新雪の
 
穢れなき白さ
陽に映え憎し