人と人がつながりあうのって難しいよねって話 4章

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ソシュールは言葉について考えた人だったんですが
言葉といえば会話ですよね

ここでは、ソシュールが考えた会話のしくみについて触れてみましょう

ある人が、その脳の中で言いたいことを思い浮かべます

そしてその言いたいことを表す言葉を探し、
思いうかべ声に出します

それが、音となって別の人の耳へと届く

すると聞く人はさっきと逆の順番でそれをうけとります

つまり、耳から脳へと音が伝わり
それが言葉として捉えられ、その言葉に対応する考えが相手に伝わる
という感じです

言葉の考えとが別のものとなってる点に注意しましょう

これは、ソシュールの言葉についての考えの大切なところです

よく考えれば
声や会話というのは空気のふるえ・つまり音でしかないのです

犬の鳴き声とピアノの音色などと、まったく同じものです

しかし、人は言葉をしゃべれるので
それらの物音と、人が伝えた言葉を区別して
言葉の持つ考えを知ることができるわけです

「リンゴ」って聞いたときに
その言葉の持つ「赤くて大体球状でヘタが生えてて、食べると酸っぱい時もあるけどおいしい果物」という考えがわかる、ってことですね

これが、ソシュールの考えた会話のしくみです

図で表してみるとこんな感じでしょうか

〇1
最初に人が言いたいことを思いうかべます
そして、その考えを表す適切な言葉を探し声に出します

〇2
すると出された声は、空気の震えとして
周囲へと広がっていきます

〇3
そして別の人は
その音を聞いて、自分が知っている言葉の意味と照らし合わせます

「りんご」という音を聞いたら
その言葉の持つ「赤くて大体球状でヘタが生えてて、食べると酸っぱい時もあるけどおいしい果物」
というイメージを思うかべるということですね

そして、今度はさっき言葉をかけられた人が
同じように〇1から順番にたどっていくわけです

つまり、与えられた言葉が持つ考えに対応して、
別の考えを投げ返してくれる

こうして会話はおこるわけです

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ソシュールは会話についてこのように考えたんですが
このしくみって会話以外でもありますよね

お金のやり取りなどが一例です

先ほどの図に合わせてみると

〇1
ある人が何かしらに価値を感じて、
それに値するだけの分のお金を取り出し相手に渡します

〇2
お金それ自体はただの紙切れです

〇3
ですが、相手の人はお金がある世界の人なので
紙切れをお金の価値として受け取ることができる

そして、今度はお金を渡された人が
同じようにさっきの順番通りに〇1からたどっていく

つまり、
そのお金の価値に値するだけの価値をかえしてくれるわけです

さっきの会話の時は
「音」を間にはさんだ「考え」のやりとりだったのですが、
今度のお金のやり取りの場合は
「紙切れ」を間にはさんだ「価値」のやりとりになっています

こうして、人と人はつながっていくんです

探してみればこのような例はいくつもあるでしょう