ピアノの家 1章 4

ドアが空いた
  

ただし、今度は古びたマンションのドアではなく
真っ白な、新しい彼らの家のドアが
  
  
渓谷の麓に佇む彼らの家は、
周囲を取り囲む、日に照らされ輝く木々との対比で
真珠のように輝いて見えた
  
  
周囲の色をほのかに反射し染まるその建物は
この世の物ではないかのようだった
  
  
  
そして、家にはピアノが運び込まれた
  
スタンウェイが

スタンウェイのピアノの色は、
統一された内装の白とするどい対比を作り出し
その存在感を増していた
   
   
そして、その音色
   
   
ピアノから奏でられる音は、
まるで色がついているかのように白の家へ染み込み
壁の内側で曲を口ずさむのであった
    
    
   
    
壁の中の歌達は命を宿し、
互いに反響しあって
家全体へとその喜びを届けるのでした

ピアノを弾く少女は、
家いっぱいに染み込んだ歌を指して
この家を「ピアノの家」と呼びました

そして、少女の成長とともに
ますます多くの喜びが、音色が
家には増えていくのでした