5
人と人がつながりあう方法はたくさんあるんですよ
先の章では
お金が間にある価値のやりとり
言葉が間にある考えのやりとりを取り上げました
では、どのように彼らはつながるのかについて
もっと詳しく考えてみましょう
例えば会話をするときですけれど
2人とも同じ言葉を話していないと
会話って成り立たないですよね
フランス語を話す人と日本語を話す人とで
会話はできませんからね
つまり、会話でのやりとりをするには
2人の間に「共通なもの」がないといけないんです
買うときにしてもそうですよね
フランスで買い物しようと思っても
ユーロじゃなく円だと買えないですもんね
で、この2人の間にある「共通なもの」
これが「大文字の他者」なんです
5-2
「大文字の他者」というのはルールでした
ルールっていうのはどこにでもあるんですよ
学校にいる時は、学校のチャイムに合わせて授業をうけるというのもルール、
バイトをしてるときに、例え自分が全然笑える気分でなかったとしても
お客の前では笑わないといけないのもルール、
物を買うときには必ずお金を払わないといけないのもルールです
で、これが難しいところなんですが
このルールって
「人は関係ない」んです
ややこしく聞こえるかもしれないんですが、
ルールがあるところは
すべての人が
必ず合わせないといけないんです
すべての人が
っていう言葉の意味が理解するのが難しいかもしれませんね
誰かが本屋に行って代金を支払わずに店を出るのもルール違反
学校の教員がいじめを見逃すのもルール違反
商売をしている人が価格をごまかして嘘をついて
事前に言ったことと異なることをするのもルール違反
上司が部下を雇うときに、会社の規則を告知しないのもルール違反
これらはあくまで一例ですが
つまり、ルールである大文字の他者は
「人とは無関係に存在している」んです
誰であろうが
ルールに属する人たちを
そのルールの特性によって結び付けているんです
ルール自体は「どんな人とも無関係に存在しうる」からこそ
さまざまな存在のどんな人をも同じルールでつなぐことができる
5-3
しかし、それにもかかわらず不思議ですが
「その人らしさ」が常に存在しているんです
物を買うときには必ずお金を払わないといけないっていうのは
ルールのひとつですが、
人によってはクレジットカードで支払うでしょうし
ある人は現金で支払うでしょうし
ある人は商品券で買うでしょう
ルールで定められている内側で個々人の特性が、
ルールを通じて表現されるんです
塾での講師の指導は、生徒のニーズに応えるのがルールですが
人によっては生徒を楽しませることで
人によってはわかりやすい授業をすることで
その特性を発揮するでしょう